生産緑地と買換資産の特例-1
東京郊外に位置するここ相模原の地にあって「緑の大地」と表現できるような大規
模な「生産緑地」地帯を車で走ることがありますが、本当にホットする気分におち入
ります。
あの広々とした緑地を見た瞬間に一瞬にしてモヤモヤしたものが吹き飛んでしまうよ
うな気分は爽快そのものです。その生産緑地が2022年に無くなってしまうと思うと残
念の一言です。幸い「10年間延長」の政府の方針が伝わってきておりますので安心
しております。
また、面積条件も500㎡以上から300㎡以上となることが予想され、一層緑地が増える
事を期待したい気持ちです。
さて、ここ相模原、町田、八王子地域のアパート、マンション等を見ておりますと空室
の多さが気になります。何か段々と増えてゆくような気がしてなりません。平成24年の
税制改正で買換特例に300㎡以上の土地という面積要件が追加されてからは、一段
とその厳しさは増しております。
特に空室を多くかかえたアパート等で相続でも発生したら相続税の納付も思うように
はいきません。
現在2020年のオリンピックを迎えて土地の上昇が見込まれるうちに入居者の見込め
ないアパート等の整理をすることをお勧めいたします。
さて、平成24年の税制改正により追加された300㎡以上の土地という「面積要件」をク
リアでき、買換特例を活用できる譲渡資産の価額はどのくらいなものになるのでしょう
か。
相模原地域の賃貸アパート群の敷地面積状況から検討してみました。
相模原地域の賃貸アパート群の敷地面積と価格状況
(一般住宅地の平均価格を50万円に設定した。)
一般住宅地の平均価格として
- 50坪×50万=2,500万円 (アパート)
- 100坪×50万=5,000万円 (アパート、マンション)
- 200坪×50万=1.0億円 (マンション)
- 300坪×50万=1.5億円 (マンション)
上記1.2.3.4について検討すると一般住宅地の想定平均価格50万円
(10年以上の長期保有、20.315%課税)
概算取得価格 不動産仲買料その他経費
- 50坪×50万=2,500万△(2,500万×5%=125万+100万=225万)
=2,275万×20.315%=462万(税金)
2. 100坪×50万=5,000万△(5,000万×5%=250万+200万=450万)
=4,550万×20.315%=924万(税金)
3. 200坪×50万=1億△(1億×5%=500万+350万=850万)
=9,150万×20.315%=1,858万(税金)
手取残金1億△(350万+1,858万)=7,792万
4. 300坪×50万=1.5億△(1.5億×5%=750万+500万=1,250万)
=1億3,750万×20.315%=2,793万(税金)
手取残金1.5億△(500万+2,793万)=1億1,707万
以上のように住宅地価格が平均50万円のような土地については、アパート、マンショ
ン等を取崩して、不動産業者に売却した方が良いかもしれません。
売却資金で所得税、住民税、猶予相続税等を支払ってしまうことも一案だ。
次に上記の想定平均価格を繁華街や駅近の土地を想定価格100万円にして上記3.4
について検討すると
概算取得価格 不動産仲買料その他経費
3. 200坪×100万=2億△(2億×5%=1,000万+650万=1,650万)
=1億8,350万×20.315%=3,727万 (税金)
手取残金2億△(650万+3,727万)=1億5,623万
4. 300坪×100万=3億△ (3億×5%=1,500万+950万=2,450万)
=2億7,550万×20,315%=5,596万(税金)
手取残金3億△(950万+5,596万)=2億3,454万
この場合は、税金を支払って終了するか、買換特例を適用するかを判断することに
なります。
買換資産の特例を適用することとなると、平成27年の税制改正で70%、75%、80%
の繰延条件が適用される事になりましたが、ここでは便宜上80%の繰延を使って試算
します。
上記3.の税金は 所得税 繰延80%のため
1億8,350万×約4%=734万(税金)(約4%の算出:20.315%×20%=4,063%のため)
手取残金2億△(650万+734万)=1億8,616万円
上記4.の税金は2億7,550万×約4%=1,102万(税金)
手取残金3億△(950万+1,102万)=2億7,948万円
買換資産の特例を選択するとなると300㎡以上の土地の「面積要件」をクリアしなけれ
ばならない事になりますので、次に面積要件(300㎡以上の土地)を満たす買換資産に
ついて検討します。
上記3.の場合
買換資産、2億円 売却資産の手取残金1億8,616万円 買換=譲渡で
必要資金(自己資金又は借入金)が1,384万円 売却時の税金は
安い。
買換資産、3億円 売却資産の手取残金1億8,616万円 買換>譲渡で
必要資金(自己資金又は借入金)が1億1,384万円 売却時の税金
安い。
上記4.の場合
買換資産、2億円 売却資産の手取残金2億7,948万円のため売却代金のみでOK。
買換<譲渡で売却時の税金は
高くなる。
買換資産、3億円 売却資産の手取残金2億7,948万円 買換=譲渡で
必要資金(自己資金又は借入金)2,052万 売却時の税金は安くなる。
買換資金、4億円 売却資産の手取残金2億7,948万円 買換>譲渡で
必要資金(自己資金又は借入金)1億2,052万円 売却時の税金は安くなる。
また、買換資産300㎡以上の土地について検討しますと、
1.一棟売りアパート、マンションについて
良い物件を見つけることは大変だ。2階建が多いので条件に合う土地300㎡以上
は確保できるが、空室が多い事が予想され、また購入時に内装外装費に多額の費
用をかけ、空室対策をとったとしても、又次にくる退却時の費用を考えると維持する
ことが、困難になる事が予想されます。
2.一室売りマンションについて
売物件については、ライオンズマンション等の管理のいき届いたものが多く、家賃
も確りと取れる。修繕積立金も確りしていて将来にそなえている物が多い。
難点は土地300㎡以上という「面積要件」をクリアするために個数を数多く集める
ことが必要になります。
国税庁の「買換資産が分譲マンションの複数の専有部分(部屋)である場合の面積要
件の判定」事例によると専有部分(部屋)が46㎡で建物全体の敷地面積(1,820㎡)で
各部屋の面積の全体が3,640㎡の場合、当該専有部分の部屋46㎡の敷地持分の計
算式は46㎡×1,820㎡/3,640㎡≒23㎡となっており、専有面積の半分が敷地面積となる
事を考慮すると「面積要件」300㎡以上の2倍の600㎡以上の専有面積が必要になる事
になります。
例えば、46㎡の専有部分の面積は「2LDK」あたりが該当することになり、600㎡≒46㎡
=13個、すなわち単純計算をすると2LDKの部屋を13ケ購入する必要になります。
空室対策を考えて駅から10分以内の中古マンションの価格は2,300万円から2,600万円
の範囲で考慮すると平均価格2,500万×13ケ=3億2,500万円ぐらいの資金を必要とす
ることになります。
従って、上記3.の場合買換資産3億2,500万円のマンションを購入する場合は売却時
の手取残金の他に必要資金1億3,884万円が必要になり、上記4.の場合は売却時の
手取残金の他に必要資金4,552万円が必要となります。
また、この他に仲介業者等の支払が必要となります。
以上、買換資産の特例について検討してみましたが、平成24年の改正で300㎡以上と
いう「面積要件」が追加された事で、かなりの資産を持っているか、資産調達力のある
かたが、この特例を活用できる事になったと思います。
一方、アパート、マンションを所有している方で、買換特例の活用が困難な方は出来
る限り早く現在土地が上昇傾向にあるうちに売却して資金を確保することをお勧めい
たします。
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